ベルジスク 6
すると、いつの間にかデフォルが僕の服の裾を引きます。
僕は振り返ると、彼女は僕に訴えます。
「狼から……声が……聞こえる気がする」
「ああ。実際に話をして―――」
僕はその言葉を聞き、違和感が何なのかに気付きました。
しかし、ファイター達は戦いを始めています。
「いつから聞こえてきたの？」
「今……少しだけ聞こえてきた」
「くっ、そういうことか！」
僕の早合点なのかもしれません。
ファイター達は戦うためとはいえ、感情があります。
実は相手の言葉とかみ合っていなかった。
それが違和感の正体。
そして、ファイター達には狼の声が聞こえていなかったのです。
先ほどの反応の遅れ、狼の咆哮に対する驚きよう……それが状況証拠として脳裏によぎりました。
ズバァ、
すでに赤毛の狼はシャウトの片手剣を受け、切り口からスピリットをあふれさせています。
更にエンチャンターの二人組みもチャートも前衛で戦い、蒼毛より戦闘力の無かった赤毛の狼の体は傷だらけでした。
「止めろおおぉぉぉぉ！」
今度は蒼毛の狼が赤毛の狼をかばい、前衛に出ていたシャウトを始めとする四人をその図体で押しのけました。
〔つづく〕
登場人物
草薙 香 主人公
フラート 館で暮らす香を悩ますハイテンションファイター
デフォル うねうね大根から進化した少女
シャウト ファイターの館のリーダー
クラッシュ 知的派ファイター、本に囲まれて生活している
チャート オーバーリアクションが特徴
レイチェス いきなり喧嘩を始める 大剣使い
ファールウ いきなり喧嘩を始める レイピア(小剣)使い
ベルジスク 洞窟狼 オス
ベルジスク 洞窟狼 メス
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